不動産鑑定評価基準


第3節建物
建物は、その敷地と結合して有機的に効用を発揮するものであり、建物とその敷地と
は密接に関連しており、両者は一体として鑑定評価の対象とされるのが通例であるが、
鑑定評価の依頼目的及び条件により、建物及びその敷地が一体として市場性を有する場
合における建物のみの鑑定評価又は建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場
合における建物のみの鑑定評価がある。

T 建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価
この場合の建物の鑑定評価は、その敷地と一体化している状態を前提として、その
全体の鑑定評価額の内訳として建物について部分鑑定評価を行うものである。
この場合における建物の鑑定評価額は、積算価格、配分法に基づく比準価格及び建
物残余法(敷地の価格を収益還元法以外の手法によって求めることができる場合に、
敷地と建物等からなる不動産について建物等に帰属する純収益から建物等の収益価格
を求める方法)による収益価格を関連づけて決定するものとする。

U 建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価
この場合の建物の鑑定評価は一般に特殊価格を求める場合に該当するものであり
文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施
設の用に供されている不動産のうち建物について、その保存等に主眼をおいて行うも
のであるが、この場合における建物の鑑定評価額は、積算価格を標準として決定する
ものとする。

V 借家権
借家権とは、借地借家法(廃止前の借家法を含む)が適用される建物の賃借権を。
借家権の取引慣行がある場合における借家権の鑑定評価額は、当事者間の個別的事
情を考慮して求めた比準価格を標準とし、自用の建物及びその敷地の価格から貸家及
びその敷地の価格を控除し、所要の調整を行って得た価格を比較考量して決定するも
のとする。借家権割合が求められる場合は、借家権割合により求めた価格をも比較考
量するものとする。この場合において、前記貸家及びその敷地の1.から7.までに
掲げる事項を総合的に勘案するものとする。
さらに、借家権の価格といわれているものには、賃貸人から建物の明渡しの要求を
受け、借家人が不随意の立退きに伴い事実上喪失することとなる経済的利益等、賃貸
人との関係において個別的な形をとって具体に現れるものがある。この場合における
借家権の鑑定評価額は、当該建物及びその敷地と同程度の代替建物等の賃借の際に必
要とされる新規の実際支払賃料と現在の実際支払賃料との差額の一定期間に相当する
額に賃料の前払的性格を有する一時金の額等を加えた額並びに自用の建物及びその敷
地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、所要の調整を行って得た価格を関連
づけて決定するものとする。この場合において当事者間の個別的事情を考慮するもの
とするほか、前記貸家及びその敷地の1.から7.までに掲げる事項を総合的に勘案
するものとする。

総論
第1章不動産の鑑定評価に関する基本的考察

第2章不動産の種別及び類型

第3章不動産の価格を形成する要因

第4章不動産の価格に関する諸原則

第5章鑑定評価の基本的事項

第6章地域分析及び個別分析

第7章鑑定評価の方式
鑑定評価の方式
価格を求める鑑定評価の手法1
価格を求める鑑定評価の手法2
賃料を求める鑑定評価の手法

第8章鑑定評価の手順

第9章鑑定評価報告書


各論
第1章価格に関する鑑定評価
土地
建物及びその敷地
建物

第2章賃料に関する鑑定評価
宅地
建物及びその敷地


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