借地権者が底地を買い取る場合の鑑定評価

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底地の評価について

底地とは借地権が付着している場合における土地の所有権を言います

底地の鑑定評価を行う場面は限定されています。借地権者が底地の買い取る場合の鑑定評価。
底地を第三者が買い取るということは普通ありません。
なぜなら、借地権者所有の建物が存在していますから、底地を手に入れたからといって、土地を自ら利用できるわけではありません。地代はかなり安い(横浜市の住宅地では¥500/坪前後程度)のが一般的ですから、収益面からも殆ど期待しえません。仮に地代単価が¥500/坪であるなら、50坪の住宅地を貸して毎月の地代はたったの¥25,000にしかなりません。固定資産税・都市計画税を支払ったら、年額の純収益は一体幾らになるのでしょう?また、借地人との煩雑な関係を考えると全くの第三者が底地を買い取るメリットは少ないのです。
ただ、積極的に底地を買う人がいます。底地買取専門の不動産会社で、彼らは底地を地主から格安で買い受け、それを借地権者に売却して利益を出しています。これも、結局、借地権者が底地を買い取ることになるのですが。

以上より、底地の市場流通性は大きく劣るということになります。仮に、第三者が底地を買い取る場合には、低廉な地代を基礎にした収益価格が標準となるわけです。

よく底地割合という言葉が使われます。
相続税の借地権割合が60%の地域であれば、底地割合は40%ということですが、第三者を前提とする市場価値(市場価格)は収益価格が標準となるため、40%には到底及びません。底地の市場価値(市場価格)は更地価格の10%に満たないと考えるのが現実的と言えます。

借地権者が底地を買い取る場合のみ、底地の価値が発揮されます。なぜならば、借地権者は底地を併合することによって、
土地・建物が完全所有権(借地権者は自由に土地・建物を処分・建て替え等ができる)に復帰し、借地条件により制約されていた潜在的土地利用の可能性(例えば、借地の目的が、居住用の木造2階建物利用と限定されていたものが、立地条件によっては中層のマンションの建築が可能になったり、店舗や事務所へ用途転換が可能であったり、コンクリート造の建物の建築が可能)となったりします。

鑑定評価のご依頼で底地の評価を頼まれることはありますが、第三者の取引を前提とする市場価値を評価するのか(正常価格)借地権者が底地の併合を前提に評価するのか(限定価格)、大きく求める価格が異なることに留意しなければなりません。
第三者を前提とする市場価値を評価する場合には、収益価格(理論的には将来期待される一時金の現在価値を加算する)を標準として評価する結果、上述のとおり低廉な価格になります。底地を第三者が買い取る場合は殆どありませんから、第三者間の底地の取引事例を収集するのは現実的に困難で、取引事例比較法は実務上、適用困難といえます。

借地権者が買い取る場合には、収益価格は指標になりません。取引により、自分の土地・建物になるのですから、地代は発生しませんね。
底地の取引を分析すると、その取引属性は概ね当事者(借地権者と地主)間取引となっています。
したがって、このような取引事例は有用な資料となる結果、取引事例比較法による比準価格が重視されます。
さて、一般の取引において、当事者間の底地の取引はどのような価格付けをされるのでしょうか?
先ほど、底地割合という言葉を使いました。底地割合は、更地価格に対する割合として認識され、簡便であるため、広く一般の底地取引において目安として利用されています。底地の取引は、当事者間取引が殆どであり、現実に価格付けに際しては底地割合が一つの目安となっているのならば、借地権者が底地を買い取る場合の鑑定評価においては底地割合を重視すべきであると思われます。

【ご依頼にあたって、ご用意して頂く資料は下記のとおりです】
 1.土地賃貸借契約書(現在の契約書、原契約書)
 2.一時金の額(書面)
 3.登記簿謄本(古いもので構いません。調査にあたり新たに取り直します)
 4.固定資産税、都市計画税額(直近)