8章 鑑定評価の手順
鑑定評価を行うためには、合理的かつ現実的な認識と判断に基づいた一定の秩序的な手順を必要とする。
この手順は、一般に鑑定評価の基本的事項の確定、処理計画の策定、対象不動産の確認、
資料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価方式の適用、
試算価格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定並びに鑑定評価報告書の作成 の作業
から成っており、不動産の鑑定評価に当たっては、これらを秩序的に実施すべきで ある。
上記のように不動産鑑定評価基準には書いてあります。実際の評価にあたってどのような評価の作成手順
を行っているかご紹介したいと思います。

基本的な流れをご紹介いたします。

まずは、ご依頼またはご質問の電話等をいただきます。その際、どのような目的(相続?売買?)で鑑定評価が必要なのか、その目的で、本当に鑑定評価が必要なのか確かめることから始まります。ここで鑑定評価が必要ということになって、はじめて鑑定評価の作業に入ります。鑑定評価の料金は安くないので、親身になって相談に乗ってくれる鑑定業者かどうかは鑑定業者を選ぶ上で重要な点かもしれません。なお、鑑定評価は必ずしもこの手順で進めるということではなく、必要に応じて適宜前後します。

1. 鑑定評価の基本的事項の確定
不動産は、境界等が不明確な場合もあります。また、毎年、地価公示で発表するように地価は変動します。さらに、前記依頼目的に応じて求める価格が異なってきます。そのため、鑑定評価の対象となる不動産(対象不動産)、いつ時点の価格か、求める価格(又は賃料)、これら鑑定評価の基本となる事項(基本的事項)を確定しなければなりません。

2. 処理計画の策定
鑑定評価は、非常に細かい作業の積み重ねにより行われるもので、これらの作業を秩序的に行う必要があります。確定された基本的事項に基づき、的確な処理計画を策定することにより鑑定評価の作業はスムーズに進みます。

3. 対象不動産の確認
対象不動産を見にいきます。依頼者の方から住宅地図で「ここのこういう権利です」といわれても、実際にその土地が存在するのか、実際にその権利等があるのかを確かめなくてはなりません。この対象不動産の確認のため法務局に行って登記簿や公図、地積測量図等を収集しなければなりません。また市役所等で行政的条件(都市計画、建築協定、斜線制限、日影規制、宅地造成工事規制区域等)、道路幅員、道路種別、都市計画道路の有無、土壌汚染、埋蔵文化財、上下水道等の調査を行います。さらに、下記の取引事例、賃貸事例、周辺の公示地等を見にいったり、地元の不動産業者さんの所へ行き、周辺での土地相場や賃料相場等についてのヒアリング等を行います。

4. 資料の収集及び整理
鑑定評価は、多数の資料を収集し、選択することにより精度が高くなります。ですから、鑑定評価に必要な資料を収集しなければなりません。具体的には、全国的な経済成長率、地価変動率等の各指標から、取引事例(周辺では土地がどのくらいの価格で取引されているか)、賃貸事例(家賃はどれくらいか)、上記登記簿、公図、地積測量図等多岐に亘ります。収集した資料のうち、不必要なものは適宜整理していきます。

5. 資料の検討及び価格形成要因の分析
鑑定評価は採用する資料によって精度が異なります。ですから、収集された資料が必要にして十分であるかを十分に検討し、その資料を基に実際に現地に赴き、対象不動産の存する地域では戸建住宅又は店舗がよいのか、低層又は高層がよいか等(地域分析)を判断し、さらに対象不動産の規模や立地条件に応じて最有効使用(端的にいうと最も効用を発揮する使用方法)は何かを判断します。

6. 鑑定評価方式の適用
一般に、人が物の価値を判定する場合には、それにどれほどの費用が投じられたか、それがどれほどの値段で市場で取引されているものであるか、それを利用することによってどれほどの収益(便益)が得られるものであるか、を考慮します。いわゆる「価格の三面性」といわれるもので、これが鑑定評価の方式の基本的な考え方になっています。価格を求める手法には、「原価法」、「取引事例比較法」、「収益還元法」等があります。

7. 試算価格又は試算賃料の調整
鑑定評価方式の適用により求められた各試算価格等は理論的には一致しますが、資料の収集の限界もあり、一致しないのが現状です。ですから、鑑定評価の手順が適正に行われたか、整合性はとれているかを繰り返し吟味しなければなりません。その上で求められた試算価格等のどれが説得力を有するかの判断、どの試算価格を重視すべきかの判断をしていきます。その不動産を買いたい人は、どんなことに注目するのか、またそれはどの手法によく反映されているか、採用した資料の信頼性は高いか、単価は高くないか、総額から見て、買いたい人が出せる値段なのか等、何度も何度も繰り返し考えるわけです。この作業によって試算価格の精度と信頼度を可能な限り向上させます。

8. 鑑定評価額の決定
以上の手順を十分に尽くし、鑑定評価額を決定します。都市計画区域内の土地の価格を求める場合には、公示価格を規準としなければなりません。

9. 鑑定評価報告書の作成
成果として、鑑定評価報告書を作成しなければなりません。一連の作業を終えてから作成するのではなく、資料の検討や鑑定評価方式の適用の各手順を行いながら順次作成していきます。鑑定評価報告書は概ね以下の@〜Dにより構成されています。

@鑑定評価額
A対象不動産の表示
B鑑定評価の基本的事項
C鑑定評価額決定の理由と要旨
D試算価格の調整と鑑定評価額の決定

以上のように、豊富に資料を収集し、緻密に調査を行い、繰り返し多数の作業を行う必要があるため、期間及び費用はある程度必要になるのです。

ご案内 ●不動産鑑定評価書はこちら
【お問合せはこちら】

このページのトップへ戻る
不動産鑑定評価
不動産調査報告書
不動産鑑定評価報酬について 不動産鑑定事務所を選ぶコツ 不動産鑑定評価の作成手順
不動産鑑定士とは不動産鑑定用語集不動産鑑定評価基準

トップページへ戻る

当サイトはリンクフリーです。リンクを貼って
いただいた場合、御一報いただければ幸いです。
 
  
株式会社 横浜不動産鑑定
〒221-0834 横浜市神奈川区台町11-29 横浜エムアイビル6階
TEL 045-317-1245 FAX 045-317-1246
E-mail: info@professional-eye.com
URL: http://www.professional-eye.com/