遺産分割の不動産鑑定

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遺産分割に係る鑑定評価について

遺産分割を公平に行なうために不動産鑑定士を利用する

遺産分割とは

ご承知のとおり、遺産分割とは、共同相続(相続人が二人以上いる)の場合に、法定相続分によって遺産の取り分が決定したとしても、誰がどの財産を取得するかを具体的に決めなければなりません。この具体的な財産決定手続きを遺産分割といいます。

あなたが、お父さんの土地・建物を相続した場合、たとえ相続税がかからないとしても、あなたの他に相続人がいる場合に、どのようにして遺産の分配を円満に行なうことができるでしょうか。なかなか難しい問題ですね。

協議分割の種類

さて、被相続人が遺言によって定める遺産分割方法(指定分割)であれば、何も問題はありません。「自宅は長男に、現金などは次男に」という具体的な遺言があれば、基本的に他の相続人と協議することはありませんからね。
けれど、遺言が無い場合には協議分割となります。その方法には、以下の3通りがあります。
◆現物分割 : 相続財産を分割して、各共同相続人に単独所有権を取得させる方法です。簡単な例でいうと、土地を分筆して、それぞれの相続人が取得するという方法です。
◆換価分割 : 相続財産を売買して、その売却代金を相続人で分けあう方法。
◆代償分割 : ある特定の相続財産を特定の相続人が単独取得し、その代償として財産価値のうち他の相続人の持分に応じて金銭で支払う方法。

争いが無い分割方法

もっとも公平間のある分割方法は「換価分割」です。不動産を売買する場合には一般に市場原理が働き、最終的には適正な価格で取引されますから、相続人間で争いが発生することは、まずありません。

けれど、現実的なことを言えば、思い出のいっぱいつまった自宅を売却するのは忍びないし、長男が現在も自宅に居住しているので売りたくはない。そこで長男が自宅の土地・建物を相続することにし、その代わりに、他の相続人にはその持分に応じて金銭で支払うということになる。代償分割を採用するわけです。

代償分割の場合、評価方法によっては不公平な分割となる

さて、この時(代償分割する時)、実際には売らないのだから、不動産を評価する必要があります。
多くの場合、相続税申告に利用した税理士さんが作成した「相続税がかかる財産の明細書」に記載されている不動産価格や「相続税路線価に基づく簡便価格」や、あるいは「固定資産税評価額」で土地・建物価格を決められることが多いと思います。

何が問題なのか

何が問題かというと、相続税算定のための税理士さんが評価した不動産価格や固定資産税価格は、適正な不動産の価格(市場価値)と必ずしも言えないからです。
相続税路線価は、相続税算定のための価格であり、市場価値を反映しません。よく、相続税路線価は市場価格の80%程度だから、この路線価を80%で割り戻した価格にかげ地割合(不整形補正)、奥行補正などの個別性を加味して評価額を決定するなど、簡易的に用いられる方法ですが、そんなに不動産の市場価格は単純ではありません。
また、固定資産税の評価額は、毎年、土地・建物の価格に対する課税目的のための評価であり、市場価値とは全く異なります。
多くの場合、「換価分割」をした場合よりも財産価値は著しく安くなっていることでしょう。

公平な不動産の評価

遺産分割は共同相続人相互間で公平であることが最も重要です。
上の例では、自宅を相続した長男は実際の価値より低く評価されることで潜在的な利益を得、他の共同相続人は潜在的な不利益を蒙る結果となります。
多くの人は不動産鑑定士の存在を知りませんが、こういう時こそ不動産鑑定士を活用すべきなのです。

現物分割の問題点

仮に、奥行が長い土地を現物分割によって2分割する場合(相続人が二名の場合)、道路に面する土地B地と旗竿地(袋地)とに分割する案があったとしましょう。この場合、それぞれの土地が等価になるようにするためには、どうしたら良いのでしょうか。
図解A地の間口の広さと旗竿部分(路地状部分)の長さによっては、建築可能な建物の用途、面積などが異なる場合もあります。
基本的には土地は更地のまま永続的に放置する資産ではありません。建物を建築し利用することが前提となりますから、建築基準法やその他の法令・条例等を熟知していないと、何かを建てようとした場合に想像した建物が建てられなくなることがあります。
また、商業地などに指定されている土地だとすると、表地(B地)と裏地(A地)とでは価値に雲泥の差が生じます。単純に前面の相続税路線価を採用して、それぞれの不動産が持つ個別的な特徴(A地は袋地で形状が劣るなど)を、画一的な数式にあてはめて計算をする財産評価基本通達等による評価では本当の価値を見失いかねず、限界があるように思えます。

適正な不動産の評価

不動産鑑定士はその不動産が属する地域性を十分に分析し、不動産の持つ個別性を考量のうえ、どのように分割すればお互いにとって公平性があるのかどうかを理論的にご説明することが可能です。