不動産調査日記by横浜不動産鑑定
No.026
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建物の時代が来る
by 守田 実

 もう15年以上も前のこと。ある住宅会社が、アジアのAという国の大学構内に住宅の試作棟(モデルハウス)を研究目的で造った。その試作棟は日本ではかなり売れ行きのいいタイプの住宅で、その型を原型にした住宅が今でもいろいろな住宅会社で建てられている。

 酷評だった。曰く、この建物は本物ではないと。

 いわゆる新建材と呼ばれるものの多くに対して、彼らはそう感じたのだとぼくは思う。
 当時のA国は経済も不安定で、とても豊かという感はない、土埃にまみれた国だった。住まいも日本よりも狭く、6畳程度の部屋に数人が寝起きするのは一般的であったと記憶している。
 その、A国の人の酷評。文化の違いによる住宅に対する見解の相違ということなのだろうか?

 仕事柄、いろいろな建物を見る機会が多い。最近の建売住宅は外壁に薄っぺらい人造の石貼をしてアクセントとしているものが多く見られ、それが流行している。これをかの思慮深い?A国の人はどのように評価するのだろうか。
 正直、日本の住宅の性能はすばらしい面が多い。しかし同時に陳腐さも感じられる。
欧米並みの住宅を造る技術は、勿論ある。あるが、土地の価格が未だに高すぎて建物にお金をかけられないのが実情だと思う。

 でも、今の子供たちが住宅を購入するくらいの歳になったころ、事情は少し変わるのではないかと思う。少子化。土地は確実に余るだろう。それも、良質な住宅地が。このようになれば、建物に対する日本人の価値観も変わるのではないかとも思う。
 スクラップ&ビルドは終焉を向かえ、本物の価値ある建物の時代がきっと来る。
 建物自体に価値があり土地はそれを支える土台でしかないと。
 そうなって欲しいとおもっている。
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