http://www.professional-eye.com/
(株)横浜不動産鑑定のトップページ
不動産鑑定士のみなさまへ
以下の分章は長文になりますので、最初に要約を掲載します。

〜要約〜

 不動産鑑定業は需要者が概ね限定されるため、既存のやり方を踏襲するだけでは経営が成り立たなくなっています。

 今こそ、不動産鑑定士は潜在的な需要を開拓すべく創意工夫をしなければならない時ではないかと思います。不動産の価格の評価のみならず、不動産の専門家として特に個人の潜在的な需要にこたえることが不動産鑑定士の役割となると考えます。

 不動産の専門家としての意義は、多くの報酬を得ることや、組織や会社の頂点に立つことではありません。本当の喜びは、不動産の専門家として顧客から十分な評価を受けることであり、仕事の充実感を享受することだと思います。

 公的評価、公共機関の評価、民間企業の評価、個人の方の評価、コンサルティング業務、その他鑑定士の能力を基礎とした業務など、多方面において顧客に最高の評価を受ける場面はたくさんあるのです。即ち、専門職業家である鑑定士としての頂上はたくさん用意されているのです。

 どのようなところで能力を発揮するかは、自由であり、その意味で鑑定士の活躍の場は無限に広がるものと思われます。

  下記文章をご一読され、何らかのご意見を頂戴できれば幸いです。

 株式会社 横浜不動産鑑定 代表取締役 守田 実  ⇒ fwnn0898@mb.infoweb.ne.jp


 かつて隆盛を極めた鉄鋼業や繊維業等は、時代の流れのなかで、変革をし得るものだけが生き残り、時代の流れを無視して既成路線を継続し続けたものは淘汰されていきました。
 不動産鑑定は概ね45年の歳月を経て成熟した業界となっていますが、大きな時代の変革期にあって大局的な観点で業界そのものを見直すことも、今、必要とされているところかもしれません。
 潜在化している顧客の需要と鑑定評価業務(周辺業務を含む)を結びつけるビジネスモデルを構築していく力、新しいマーケットを生み出していく力が必要だと感じています。
 時代は、近視眼的な目先だけの変化を求めてはいません。大局的な見地での変革を求めていると感じるのです。そのような試みが長期的にみれば、鑑定士に大きなビジネスチャンスをもたらすものと思うのですが・・・・・。

 まず、マーケットにおける鑑定需給の実態を把握し、簡単に分析することで、市場において不可避に内在する問題点や解決の糸口を考えてみたいと思います。

既存の鑑定評価市場について(単純モデル)

@鑑定市場における需要と供給の関係

 需要曲線は非弾力的です。D−D曲線(グラフ参照)(価格が低下しても需要量は大きく増大しない一方、価格が上昇しても一定の需要は認められます。公的機関による需要が主と想定した場合。)
供給曲線は弾力的です。S−S曲線(鑑定士の人数の制約から価格が上昇しても急激には供給量は増加しません。)
 この場合の鑑定市場における売上高の総額はQ0×P0で表すことができます。

A主として公的機関の需要の減退

 需要曲線はD−DからD1−D1へシフトします。
 供給曲線が変わらないと想定すると、売上高はQ1×P1となり、売上高の減少分は(Q0×P0)−(Q1×P1)となります。
 ここで注視すべきは、価格についてはP0からP1に僅かに下落したに過ぎませんが受注量はQ0からQ1へと大きく減少したことにあります。
 受注量の減少分の多くは、新規参入者、公的機関に地盤の弱い鑑定業者に皺寄せがいったものと思われます。本来ならばそれらの業者に用意されていたはずの受注量が喪失されたものと考えるからです。公的機関に基盤を持つ不動産鑑定業者の報酬額はP0からP1に減少しましたが、大きな受注量の減少は無いので、新規参入者等に比較して売上高の減少は比較的小さいと考えることができます。

B供給曲線の右へのシフト

 新規参入者や簡易評価を中心として大量受注を企図するプレイヤーは、一定の売上高の確保の観点から、報酬額が安くても受注量を増やそうと考えますから、価格競争の結果、市場全体としては報酬額の低下を招き、供給曲線はS−SからS1−S1にシフトします。 売上高はQ2×P2となります。報酬額はP1からP2へ大幅に下落していますが、受注量は市場全体では僅かに増加したに過ぎません。
 需要曲線が非弾力的であるため、報酬額が下がったとしても、それに見合う受注量が増加しないのが原因と考えられます。このように価格競争をすれば、市場全体では、縮小均衡するばかりで、利益をもたらさない結果となります。現在の鑑定業界の市場はこの縮小均衡の状態にあるといえます。経費を切り詰め、安い報酬にも休日を返上し黙々と仕事をこなす個々の鑑定業者の努力は、市場全体でみればマイナス効果になっているのが実情です。

C需要曲線をD1−D1からD2−D2に右シフトさせることが可能か

 そもそも鑑定評価については依頼者がその必要に応じて発注するものであり、需要を喚起する方法はかなり限定されると考えられます。

 1.公共機関→ 公共機関においては財政再建のため支出の削減をしている状況である。
一方的な需要であり、需要を喚起するのは事実上できない。

 2.公的評価→

公的評価→地価公示を中心とする鑑定士の核となっている業務であるが、1.と同様、ポイント数の増加や報酬額の増加は期待薄である。現状維持。

 3.金融機関→

金融機関→系列企業の鑑定業者を選定する場合が多い。また従来から付き合いのある鑑定業者に依頼する場合が多い。新規の参入は人脈を辿るなど方法に依存するか。担保評価、プロジェクト融資に係る評価が多く、不動産調査報告書による簡易評価を主体とし、報酬は安い。鑑定評価をする場合もあるが、報酬にネゴが入る場合が多い。

 4.一般企業→

一般企業→一般企業は、鑑定評価をする機会が少ないために、依頼先については人づて或いはネットによる検索が見られる。ホームページを持つ鑑定業者にとっては多少ばかりの需要の拡大を図ることが可能とも思えます。

 5.税理士、弁護士等の
  士業からの紹介


税理士、弁護士等の士業からの紹介→確実性が高いが鑑定士の個人的な人間関係の信頼度に依存しています。
仮に個々の鑑定業者の営業努力、鑑定協会等の団体によるネゴによって需要曲線がD2−D2にシフトしたとしても、報酬額の上昇は僅少にとまり(P2からP3)、売上高の上昇も、その努力に比して市場全体では低いものとなっています。

D現状の鑑定市場での取り組み

 現状の市場のなかでも安定的な収益をあげている鑑定業者はたくさんあります。長年の営業活動や的確な鑑定評価業務を通じた信頼性により多方面のクライアントを有する鑑定業者は、現在の市場においても泰然としていることが可能だと思います。
 けれど、そのような鑑定業者であっても、将来の収益性に対して漠たる不安を持つ経営者もまた多いのではないでしょうか。
 鑑定市場においては、限られた需要の動向如何に、大きく収益を依存せざるを得ないのが現状だからだと思います。
 今まで、鑑定業者が想定することがなかった潜在的な需要にスポットをあてることにより、需要を拡大することが可能と考えることはできないでしょうか。

 今一度、グラフを見てみますと、DD−DD曲線が潜在化している需要曲線です。これらの需要者は決して高い報酬では鑑定評価等の業務を依頼しません。しかしながら、依頼する内容との比較において、割安感があると判断すれば需要は大きく拡大します。したがって需要曲線は弾力的です。P4×P4が市場全体の売上高であり、当初のQ0×P0の売上高よりも増加しているのが分かります。この場合、供給者である鑑定業者が報酬額の値下げ競争をした場合(供給曲線が右下にシフト)でも、需要曲線が弾力的であるため、市場全体の売上高は縮小しません。

 ここで、話を少し転換して、不動産鑑定業の営業方法について考えて見ましょう。

 いわゆるプッシュ型の営業手法は鑑定業ではあまり馴染みません。プッシュ型の営業とは、相手先に出向き、商品の付加価値等を説明しながら、それほど入用の無い商品を購入してもらう手法です。不動産鑑定士が民間企業に飛び込み営業をする。効果が全く期待できないわけでもありませんが、すぐに精神的に疲弊してしまいます。
 鑑定の基本的な営業方法はプル型の営業手法だと思います。プル型の営業は、まず商品の情報を何らかの形で開示し、商品価値を需要者自らが納得し、信頼できる或いはその商品に有用性があると判断すれば、購入するという需要者が主役となる営業です。商品に自信があればこその営業手法とも言えます。
 鑑定評価等の民間からの依頼は紹介によるものが多いと思いますが、これは依頼者が知人等をとおして間接的に鑑定士の情報を得、信頼するからだと思います。

 しかし、知人や既鑑定依頼者からのご紹介だけだと潜在的な需要者を大きく取り込むことは難しいですね。

 誰でも思いつくように、プル型の営業手法で潜在的な需要を取り込むためには、HPの活用が有用だと思います。

 鑑定業者の理念、履歴、資本力、規模、業務内容(鑑定以外にも何か業として行っているのか、例えば個人が住宅を購入する場合のコンサルティング、投資用不動産に対するコンサルティング等)、鑑定報酬額の取り決め、評価できる地域、他の鑑定業者にない差別化のできる鑑定書(何を得意とするのか)等、需要者が必要とする情報を詳細に開示し、需要者が納得した上で依頼をする。まさにプル型の営業ですね。さらに24時間文句も言わず働いてくれて、お金もさほど掛からない方法は、現状ではHPによる営業手法は大変有効な手段だといえます。
 意外なところからご依頼を受けることも多く、自分が想定する需要が如何に狭いものであったのかを痛感することもあります。

 物品を販売するような業態であるならば、HPの有用性はわかるけれど、鑑定業という専門的な仕事であり、またニッチな業界であることから本当に効果があるのかどうか、わからない。というご意見もよく耳にします。けれど、専門的でニッチな仕事であるからこそ、HPの有用性は高いと思うのです。

 個人、中小規模の民間会社は、鑑定評価需要が生じた場合、誰にどのようにして依頼したら良いのか、報酬は幾らくらいかかるのかといったことを熟知していることは稀です。インターネットの普及前は人づて、電話帳に頼っていたのかもしれません。けれど、インターネットの検索により、鑑定士等の情報を簡単に入手することができるようになりました。豊富な鑑定業者のHPから需要者自ら信頼できると判断した業者を選定することが可能となったわけです。

 HPの効用を疑問視される方も多いと思いますし、いろいろな考え方があるのは理解するところですが、ひとつの方法としてのHP活用という考え方は、潜在的な需要、とりわけ個人の方が住宅購入等に際して不動産の専門家である不動産鑑定士に適切なアドバイスをして頂きたいとか、単なる相場観ではなく、所有する不動産の適正な評価をして頂きたいというような需要に対して、大きく貢献することに繋がると思うのです。

 以下は、HPよりご依頼のあった評価(コンサルティング的なご依頼は除く)の抜粋を示しておきます。このように抜粋することは非常には恥ずかしいことのように思います。けれど、時代の趨勢のなかでこのような方法により、末端鑑定業者が少しばかりでも仕事を受注できることを示すことにより、諸鑑定士協会や他の鑑定業者がHPの充実を図るきっかけとなり、結果として市場全体の需要曲線を右上にシフトさせることや、潜在的な需要を喚起することが可能ではないかとの想いから、記述しようと思います。

 現在、鑑定業者でHPを有する会社は数多いと思いますが、本当の意味で充実したHPを作製している会社は数社しかないように思います。数社では潜在的な需要を喚起するには至りません。個々の会社の売上高を少しばかり上昇させる程度に止まるのではないでしょうか。

・自宅売却のため、不動産会社に提示する売買価格の査定
 (個人からの依頼)

・地方の不動産会社が首都圏にある顧客のマンションを売るため、値付けの正当さを検討するための査定
 (不動産業者)

・全国に店舗展開する会社の賃料(家賃)に関して、その改定に伴う評価
 (会社担当者)

・会社整理に伴い、担保不動産である社長個人の自宅の適正価格の査定
 (個人)

・別荘地を購入しようとする個人が、その別荘売り出し価格の妥当性についての査定
 (個人 売買価格の適正さの検討と私道と建物との関連性についての適法性について)

・相続税評価に対して対象地が山林であることの証明としての最有効使用の判定
 (個人 自宅部分の裏山であり、山林としての機能しか有していない)

・工場の担保評価
 (会社 銀行へ提示する土地・建物の担保能力についての査定)

・地方に所在する会社社長の、神奈川県内にある個人財産を売却するための基礎資料としての査定
 (個人 地方に居住中であり、不動産の価値自体が把握できないため)

・隣接地を売却するための評価
 (個人 隣接地を売却することにより、通常の価格より高く売れるのか否かの判断材料)

・会社の役員の所有するマンションを会社へ売却するための評価
 (個人 税務上の必要性から)

・マンション一棟を売却するための適正価格の評価
 (依頼者は地主であり、不動産会社では適正な価格付けが困難との判断)

・高圧線が自宅上空を走っていて、制約から平家しか建築できない土地について、遺産分割に係る評価
  (個人 特殊な土地であり、税理士、不動産業者では価格査定が困難)

・実質的な個人経営会社の土地・建物を従業員に売却するための査定
 (会社 経理上の必要性から)

・駅前商業地に存する容積率が2倍程度超過している既存不適格(一部違法)建物のみの評価
  (依頼者は当該建物所有の不動産会社であるが、売買にあたってどのように建物を
   査定するのか分からないため)

・会社役員の個人の土地・建物について土地の所有権を留保する前提で借地権付建物として
  会社に売買することを前提とした評価
 (個人 経理上、税務上の必要性から)

・老朽化した店舗(借地権付建物)の建物賃借人が賃料値上げ要求に対する反対意見としての評価
  (建物賃借人)

・リゾート施設付きマンションの一部を賃貸するための適正賃料
 (管理組合理事 マンションの共有部分の一部を賃貸するにあたっての賃料について
  管理組合として妥当な水準がわからないため)

・地方に所在する銀行が神奈川県内にある担保物件の査定
 (銀行担当者)

・過小宅地について、利用の有効利用方法及び売買するための適正価格の査定
 (個人 20坪未満の土地の有効利用の方法が分からない。また適正価格は幾らぐらいか)

・投資不動産の購入可否の検討にあたって、適正価格の査定
 (個人投資家という方からの依頼は多い。投資対象としての収益性及び建物価値に対する
  専門家の意見が欲しい)
 
・区画整理換地処分前の土地の売買にあたり、適正価格の査定
 (個人 売買事例が少なく、土地価格の指標がないため、専門家の査定が必要)

・上場にあたって、会社社長が複数有する個人財産の整理等のための評価
 (IPO担当者 IPOにあたっての必要性から)

・会社を立ち上げるため、所有する不動産を現物出資したいための、適正価格の評価
 (現物出資に係る評価は多い。税務上等の必要性)

・相続税の算定にあたり、広大地である旨の意見書(最有効使用の判定)
 (個人 税務上の必要性)

・経営上窮地にある旅館の評価
 (顧問FP 再生に係る評価)

・遺産分割協議に伴い、広大な土地を、同価値となるように相続人に配分するための評価
 (顧問税理士、価値として公平に分割するのは困難なため)

E弊社の取り組み(鑑定業関連)

 鑑定評価においては、社内に一級建築士がおり、建物の積算価格、想定建物のボリューム(配置図、平面図、立面図、日影等)を担当しています。一般に鑑定士が不得意とする建築に係る部分を補填してくれています。
 更地の評価は最も難しい類型のひとつだと思いますが、建築士と協働して評価を行うことにより、少しは精度の高い評価となるかなと思います。

 純粋な鑑定評価業務とは言えませんが、個人の方に対して住宅購入前のアドバイスを行っています。一般に個人の方は、不動産の知識が不足しています。一方、不動産業者は土地や・建物について需要者に十分な情報を与えない(意図的ではなく仲介業者もまた十分な情報を得ていない場合もある)ことが多く、チラシ一枚で建売住宅を契約するケースは多いです。個人の需要者はいつだって不安と不信感の中で契約を迫られているというのが実態です。このような悩みや不安を持つ個人の方は意外と多く、この需要に対し、価格の妥当性、周辺環境の良否や資産としての価値、重要事項説明書の調査、契約書の調査、建築士を交えた建物の品質・構造等についてのアドバイスを行っています。

F最後に

 既存の鑑定業者のHPは事務所概要等については詳細に書かれています。
 けれど、不動産鑑定士の資格は個人に与えられた資格ですから、鑑定事務所は事務所の代表者の考え方を色濃く反映した個性的なもののはずです。

 したがって、不動産鑑定士個人の考え方を主体とする、新しい形での不動産鑑定士の検索サイトを作製するつもりです。単に事務所の名前や業務内容を記述するだけの検索サイトにとまらず、実際にインタビュー等を通じて、その事務所、その鑑定士個人の考え方を反映する検索サイトにしたいと考えています。
 それは、不動産鑑定士を探している民間企業や個人の方にとってわかり易いものとなると信じています。
ご興味のある鑑定士の方のご連絡をお待ちしております。

以 上
このページの先頭へ


(株)横浜不動産鑑定のトップページへ